ゴールキーパーがボールを怖い!と感じる原因と克服法【タイプ別に解説】

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保護者
GKのお母さん
「うちの子、シュートが飛んでくると体が固まってしまう」
保護者
GKのお父さん
「ダイビングが怖くて飛べないみたい」

ゴールキーパー(GK)をしているお子さんを持つ保護者の方から、こうした相談をいただくことはとても多いです。

ボールが怖い、地面に飛び込むのが怖い
——こうした恐怖心は、GKなら誰もが通る道です。

大切なのは「怖さをなくすこと」ではなく、
「怖さの正体を理解して、付き合い方を身につけること」です。

この記事では、GK専門アカデミーでの指導経験をもとに、
キーパーがボールを怖いと感じる原因を3つのタイプに分類し、
それぞれに合った克服ステップを紹介します。

保護者の方が家庭でできる
メンタルサポートについてもお伝えしますので、
ぜひ最後まで読んでみてください!


目次

キーパーがボールを怖いと感じるのは、当たり前のこと

まず最初にお伝えしたいのは、
「ボールが怖い」と感じることは、
まったくおかしなことではないということです。

基本的に、人は自分に向かって飛んできたものを避けるのが普通です。

しかしGKは、
その「避ける」という行為をやってはいけない。

非常に特殊で難しいポジションです。

逆に言えば、それをやるためにGKというポジションをプレーしているわけです。

小学生で時速60〜80キロ、
プロになると100キロ以上(あのクリロナは130キロを越えます)で
飛んでくるボールに、自分の体を投げ出して止めにいく。

怖くないほうがむしろ不思議です。

「怖い」と感じる感覚は、体を守ろうとする
防衛本能が正常に働いている証拠ともいえます。

怖さを感じない選手のほうが危ない理由

実は、指導者の立場からすると

「まったく怖くない」という選手のほうが心配になることがあります。

恐怖心がゼロだと、無理な体勢で飛び込んだり
危険な角度で着地したりしてケガにつながるからです。

怖さを感じるからこそ、
正しいフォームを身につけようという意識が生まれます。

怖さは克服すべき「敵」ではなく、安全にプレーするための「センサー」です。

GKの怖さは敵ではなく安全にプレーするためのセンサーであることを示す概念図

キーパーの「ボール怖い」は3種類ある——あなたはどのタイプ?

「ボールが怖い」と一口に言っても、
その中身は選手によって異なります。

ここでは、GKの恐怖心を大きく3つのタイプに分けて整理します。
自分やお子さんがどのタイプに近いか、考えながら読んでみてください。

GKの恐怖心3タイプ(ボール恐怖・ダイビング恐怖・ミス恐怖)の比較図

タイプ1:ボール自体が怖い(当たったら痛い)

シュートが体に当たる痛みへの恐怖です。

特にGKを始めたばかりの選手や、
以前ボールが顔や体に強く当たった経験がある選手に多く見られます。

このタイプの選手は、
ボールが飛んでくると無意識に目をつぶったり、
顔をそらしたりする傾向があります。

GKの子供
GKの選手
ボールに当たったら痛そうだな、、、

という気持ちはとても自然なものですが、
目をつぶってしまうとかえってボールの軌道が見えなくなり、
痛い当たり方をしやすくなります。

タイプ2:地面に飛び込むのが怖い(ダイビング恐怖)

GK特有の動きである「ダイビング」に対する恐怖です。

横方向に体を投げ出して地面に倒れる動作が怖く、
キーパーが飛べないという状態になります。

GKの子供
GKの選手
地面に体を打つのは痛いし嫌だな、、、

このタイプの選手は、
立ったまま手を伸ばして届く範囲のボールは止められるのに、
横に飛ばなければ届かないボールには反応が遅れます。

地面への着地で痛い思いをした経験があると、
体が無意識にブレーキをかけてしまいます。

タイプ3:失点・ミスが怖い(責任プレッシャー)

技術的な怖さよりも、メンタル面の恐怖です。

GKの子供
GKの選手
自分のせいで点を取られたらどうしよう、、、
仲間やコーチに怒られるかもしれない、、、

という気持ちから、思い切ったプレーができなくなります。

このタイプは、練習ではできるのに
試合になると動きが硬くなるのが特徴です。

技術的には問題がないぶん、周囲からは

「なぜ練習通りにできないんだ!?」

と思われやすく、本人も余計に追い込まれてしまうことがあります。

3つのタイプは重なることもあります。

例えば、、、

「ボールが痛い」と「ダイビングが怖い」を同時に抱えている選手もいます。

まずは、どの恐怖がいちばん強いかを見極めることが、克服の第一歩です。


キーパーのボール恐怖・タイプ別の克服ステップ

恐怖心の原因がわかったら、
それぞれに合ったアプローチで段階的に取り組んでいきましょう。

大切なのは「一気に克服しよう」とせず、小さな成功体験を積み重ねることです。

実際の指導現場でも、
恐怖心を持っている選手やキャッチングの際に顔を背けてしまう選手がいます。

しかし、正しいキャッチングの方法や
正しいダイビングの着地の方法を知ったことがきっかけで、
その後はまったく恐怖心なくプレーができるようになったケースは少なくありません。

つまり、恐怖心の多くは「正しい技術を知らないこと」から生まれているのです。

【タイプ1向け】ボール恐怖を和らげる段階的アプローチ

ボール自体が怖い選手には、「痛くない経験」を繰り返し積むことが有効です。

ステップ1:柔らかいボールから始める
ゴムボールやスポンジボールなど、
当たっても痛くないボールを使って、
ボールをキャッチする感覚に慣れます。

「当たっても痛くない」という成功体験が、
恐怖心をやわらげる土台になります。

ステップ2:近い距離から始める
2〜3メートルの近距離から、
ゆっくりなボールを投げてもらいキャッチします。

ボールの軌道をしっかり目で追える距離から始めることがポイントです。

ステップ3:目を開けたまま正面でキャッチする
いちばん大切なのは「ボールを最後まで見る」ことです。

目を開けてボールを見ていれば、
手で正しく受け止められます。

正面でしっかりキャッチできる感覚がつかめてきたら、
徐々に距離やスピードを上げていきます。

ステップ4:正規のボールに切り替える
柔らかいボールで自信がついたら、
通常のサッカーボールに切り替えます。

ただし、いきなり強いシュートではなく、手で投げるところから始めてください。

このアプローチで大切なのは、
「怖さが出たらひとつ前のステップに戻る」ことです。

焦って先に進む必要はありません。

タイプ1ボール恐怖を克服する4つのステップ図解

【タイプ2向け】ダイビング恐怖を消す着地の習得法

ダイビングが怖い選手の多くは、
「正しい着地の仕方を知らない」ことが原因です。

着地の技術を身につけるだけで、恐怖心は大きく減ります。

ステップ1:膝立ちから横に倒れる
まず立った状態ではなく、膝立ちの姿勢から横に倒れる練習をします。
地面との距離が短いぶん、怖さは少なくなります。

このとき、体の側面(もも➡︎上体の順番)で
地面から近い部位から順番に着地する感覚をつかみましょう。

ステップ2:着地面を柔らかくする
マットや芝生、砂場でクッション性がある場所で練習します。

土のグラウンドや体育館のような硬い床では痛みが出やすく、
恐怖心が増してしまいます。

練習環境を選ぶことも、克服に向けた大切な工夫です。

ステップ3:低い姿勢からダイビング(ローリングダウン)する
なるべく地面に近い高さ(中腰の姿勢)で、
横方向にダイビング(ローリングダウン)します。

ここで意識してほしいのは
まずは「飛ぶ」のではなく「倒れる」イメージを持つことです。

力を入れて遠くに飛ぼうとすると、
着地の衝撃も大きくなります。

最初は「体の力を抜いて、横に倒れるだけ」で十分です。

ステップ4:立った状態からダイビングする
低い姿勢での着地に慣れてきたら、
立った状態からのダイビングに進みます。

足で地面を蹴るのではなく、
重心を横に移動させる感覚で取り組みましょう。

着地の技術は、一度身につけば一生使えます。

ダイビングだけでなく、試合中のあらゆる場面で体を守ることにつながります。

タイプ2ダイビング恐怖を克服する着地習得の4ステップ図解

【タイプ3向け】失点・ミス恐怖をメンタルから整える方法

失点やミスへの恐怖は、技術ではなく
「考え方」を整理することで改善できます。

ステップ1:GKの役割を正しく理解する
GKは「シュートを全部止める人」ではありません。
サッカーは11人でプレーするスポーツです。

失点はチーム全体の結果であって、
GK一人の責任ではありません。

この考え方を、選手自身が腹落ちするまで伝えることが大切です。

ステップ2:「止められなかったシュート」を分析する
「なぜ止められなかったのか」を振り返ることで、
恐怖は「課題」に変わります。

ポジショニングの問題なのか、
反応の遅れなのか、相手のシュートが素晴らしかったのか。

原因がわかれば「次はこうしてみよう」という前向きな気持ちが生まれます。

ステップ3:「うまくいったプレー」を記録する
失点ばかりに目が向くと、GKは精神的に辛くなります。
練習や試合で「うまくいったプレー」を思い出す習慣をつけましょう。

ノートに書いてもいいですし、
保護者の方が「あのセーブよかったね」と声をかけてあげるだけでも効果があります。

ステップ4:「失敗しても大丈夫」な練習環境をつくる
ミスを怒られる環境では、恐怖心はなかなか消えません。

練習の場では「ミスしてもいい。そこから何を学ぶかが大事」
という雰囲気をつくることが、指導者にも保護者にも求められます。

タイプ3失点・ミス恐怖をメンタルから整える4ステップ図解

キーパーの恐怖心克服を加速させる——「なぜ怖いのか」を選手自身に考えさせる

恐怖心の克服において、
とても効果的なアプローチがあります。

それは、コーチや保護者が「答え」を与えるのではなく、
選手自身に「なぜ怖いのか」を考えさせることです。

「何が怖いか」を選手の口から出してもらう

「怖い」

という感情は漠然としています。
漠然としたものは対処しにくいため、いつまでも克服できません。

実際の指導現場では、「何が怖いか」をまず選手自身の口から出してもらい、
それに対しての解決方法や考え方を一つずつ丁寧に伝えることで、
恐怖心を取り除くことができています。

たとえば「ダイビングが怖い」と言っていた選手に「何が1番怖い?」と聞くと、
「着地したときに肘が痛い」と答えることがあります。

これがわかれば「肘が痛くならない着地の仕方を練習しよう」
という具体的なステップに進めます。

「怖い」の中身がわからないまま「もっと勇気を出せ」と言っても、
選手は困るだけです。

原因を自分で言語化できることが、克服のいちばんの近道です。

実際の練習でどう問いかけるか

現場での問いかけの例を紹介します。

  • 「今のプレー、何が怖かった?」
    ——漠然とした恐怖を具体化させる質問です
  • 「どうなったら怖くなくなると思う?」
    ——選手自身に解決策を考えさせる質問です
  • 「前にできたときと、今回の違いは何だろう?」
    ——うまくいった経験と比較させる質問です
  • 「10点中、今の怖さは何点?」
    ——恐怖を数値化して変化を実感させる質問です

ポイントは、、、

「怖くないでしょ」
「大丈夫だって」

と恐怖を否定しないことです。

怖いという気持ちをまず受け止めたうえで、
「じゃあ一緒に考えよう」と寄り添う姿勢が大切です。

この問いかけは、GKの恐怖心克服だけでなく、
サッカー選手として自分で考える力を育てることにもつながります。


保護者にできること——家庭でのメンタルサポート5つのポイント

お子さんが「キーパーが怖い」と言ったとき、
保護者としてどう接すればいいのか迷う方は多いと思います。

ここでは、家庭でできる具体的なサポート方法を5つ紹介します。

1. 結果だけに反応する声かけは逆効果になる

まず、避けてほしい声かけがあります。

GKというポジションに対しての理解がないまま、
試合中に外から「行け」「止めろ」と結果に対してだけの
声かけをしてしまうケースがあります。

悪気がなくても、こうした声かけが続くと、
選手は「失敗すると怒られてしまう」と怯えながらプレーするようになります。

その結果どうなるか。

自分の判断でプレーができなくなる。
保護者の顔やベンチの指導者の顔色をうかがいながらプレーする。

そして最終的には、言われたことだけをこなす選手になってしまいます。

以下のような声かけも、同じ理由で注意が必要です。

  • 「怖がるな」「情けない」
    ——恐怖心を否定すると、子どもは「怖いと言ってはいけない」と感じ、気持ちを隠すようになります
  • 「みんなできてるよ」
    ——他の選手と比較されると、自信をさらに失います
  • 「なんで止められないの」
    ——失点の責任を問う言葉は、タイプ3の恐怖を強めます

2. やる気を引き出す声かけの実例

反対に、効果的な声かけの例を挙げます。

  • 「今日の練習で、自分的にどうだった?」
    ——結果ではなくプロセスに目を向けさせます
  • 「前より〇〇ができるようになったね」
    ——小さな成長を具体的に伝えます
  • 「怖いのに頑張ってるのはすごいことだよ」
    ——恐怖心があること自体を認めます
  • 「どんなプレーがしたいか教えて」
    ——選手自身の目標を引き出します

大切なのは、結果よりも過程を認めることです。

「止めた・止められなかった」ではなく、
「挑戦したこと」「考えて動いたこと」にフォーカスしてあげてください。

保護者の声かけNG例とOK例の比較図

3. 家でできる「ボール慣れ」遊び

練習以外の場面でボールに触れる時間を増やすことも効果的です。

  • キャッチボール
    ——柔らかいボールで、親子でキャッチボール。最初は近い距離から
  • 壁当て
    ——壁に投げたボールを跳ね返りでキャッチ。反射神経のトレーニングにもなります
  • ゴロゴロキャッチ
    ——布団やマットの上に寝転がり、横からゆっくり転がしたボールをキャッチ。ダイビングの姿勢に自然に慣れることができます

「練習」ではなく「遊び」の感覚で取り組めるものばかりです。
楽しみながらボールに慣れることで、恐怖心が少しずつ軽くなっていきます。

4. 練習を見に行きすぎない

保護者が毎回練習を見ていることがプレッシャーになる選手もいます。

「親に見られている」と意識すると
ミスできないという気持ちが強くなり、恐怖心が増す場合があります。

お子さんのタイプを見極めたうえで、見に行く頻度を調整してみてください。

5. 無理にやめさせない・無理に続けさせない

お子さんが「怖い」と言ったとき、
「もうやめなさい」とすぐ結論を出す必要はありません。
同時に、無理に続けさせる必要もありません。

「今、どんな気持ち?」
「どうしたい?」と聞いて、

お子さん自身に考える時間を与えてあげてください。
自分で出した結論なら、前向きな一歩になります。


よくある質問(FAQ)

Q. 何歳までに恐怖心を克服できれば大丈夫ですか?

保護者
GKのお父さん
何歳までに恐怖心を克服できれば大丈夫ですか?
三上コーチ
三上コーチ
「何歳まで」という期限はありません。
小学校低学年で克服する子もいれば、中学生になって急に気にならなくなる子もいます。
大切なのは「少しずつ前に進んでいるかどうか」です。
小さな変化を見逃さないようにしましょう。

Q. プロテクターやパッド付きウェアは使ったほうがいいですか?

保護者
GKのお母さん
プロテクターやパッド付きウェアは使ったほうがいいですか?
三上コーチ
三上コーチ
恐怖心が強い段階では、GK用のプロテクターやパッド付きウェアを使うのは良い選択です。
「痛くない」という安心感が、積極的なプレーにつながります。
着地の正しい技術が身についてきても、ケガ予防のために使い続けても問題はありません。

Q. 怖くて試合でダイビングできません。どうすればいいですか?

GKの子供
GKの選手
怖くて試合でダイビングできません。どうすればいいですか?
三上コーチ
三上コーチ
試合でいきなりダイビングしようとするのではなく、まず練習で「できる」という自信を積み上げることが先です。
練習で10回中5回以上、迷いなくダイビングできるようになったら、チャレンジしてみてください。
「練習でできないことは試合でもできない。練習でできることは試合でもできる。」この考え方を持つことが大切です。

Q. 恐怖心が原因でポジション変更を考えています。どう思いますか?

保護者
GKのお母さん
恐怖心が原因で子どもがポジション変更を考えています。どう思いますか?
三上コーチ
三上コーチ
ポジション変更が悪いことではありません。
ただ、恐怖心だけを理由にすぐ変更するのはもったいないかもしれません。
恐怖心は正しいアプローチで段階的に取り組めば改善できることが多いです。
まずはこの記事で紹介したステップを試してみてください。
GKの経験は、フィールドプレーヤーになっても活きます。

まとめ——ゴール前に立っている時点で、すでに大きなチャレンジ

キーパーがボールを怖いと感じることは、弱さではありません。

体を守ろうとする自然な反応であり、
正しいフォームや技術を身につけるきっかけにもなるものです。

この記事のポイントをまとめます。

  • GKの恐怖心は「ボールの痛み」「ダイビング」「失点・ミス」の3タイプに分けて考える
  • 正しいキャッチングや着地の技術を知るだけで、恐怖心が大きく減ることがある
  • 「なぜ怖いのか」を選手自身が言語化できると、克服への道が大きく開ける
  • 保護者は結果だけに反応する声かけを避け、小さな成長を認める声かけを心がける
  • 焦らず、少しずつ。小さな成功体験の積み重ねがいちばんの近道

GKは、人が本能的に避けたくなるボールに立ち向かうポジションです。
ある意味、人類の中では少数派の感覚を持ってプレーしています。

なかなか理解されにくい部分もあるかもしれません。

でも、シュートを止める喜びや、チームのために体を張る喜びがGKにはあります。

キーパーとしてゴール前に立っている時点で、
お子さんはすでに大きなチャレンジをしています。

今「怖い」と感じていることは、
将来振り返ったとき、成長のスタート地点だったと思えるはずです。

キーパーの恐怖心克服5つのポイントまとめインフォグラフィック

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「チャレンジしたい!」という熱い気持ちになりましたら、
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三上コーチ
三上コーチ
お子さんの「勇気」が「怖い」を克服する瞬間を、一緒に見届けられたら嬉しいです!