

「トレセンって、選ばれるためにどんなGKを目指せばいいの?」
お子さんがゴールキーパー(GK)として上のステージを目指したとき、保護者が最初にぶつかる疑問がトレセン選考の中身です。
ネットを調べても「技術が大事」「判断力が大事」と抽象的な情報ばかりで、現場の指導者が実際に何を見ているのかは見えにくいものです。
この記事では、ナショナルトレセンU-14に選出され、浦和レッズユースで2種登録までプレーした三上GKコーチ自身の体験と、グラスピアGKアカデミーから16名のJリーグ下部組織進出選手を見てきた経験をもとに、トレセンを通過していった選手たちに共通していた4つの要素を整理します。
育成年代のGKと保護者にとって、次の一歩を考える判断材料になれば幸いです。
JFAトレセンとは?4段階の育成プログラム
「トレセン」と一言で呼ばれていますが、実際には階層構造になった選手育成プログラムです。日本サッカー協会(JFA)が運営し、各カテゴリーで選抜された選手だけが上のステージに進む仕組みになっています。
地区→都道府県→地域→ナショナルの4段階
トレセンは下から順に4段階あります。
- 1
地区トレセン
市区町村レベル。所属チームから推薦・参加でスタートする最初の入口
- 2
都道府県トレセン
地区トレセンから選抜された選手が集まる。県内のトップレベルが顔を合わせる
- 3
地域トレセン(関東・関西など9地域)
都道府県を越えた地域単位で選抜。レベルが一気に上がり、ナショナルへの登竜門
- 4
ナショナルトレセン
全国から選ばれたトップ・オブ・トップ。U-12〜U-16のカテゴリーごとに開催される
GKはフィールドプレーヤーと違い、1チームに1人のポジションなので、各カテゴリーで選出されるGKの人数はかなり絞られます。
地区から都道府県、都道府県から地域、地域からナショナルと、上がるごとに選考の壁は厚くなっていきます。
カテゴリー別の選出時期
JFAのナショナルトレセンは年代別にU-12(小学6年生中心)、U-13、U-14、U-15、U-16のカテゴリーで運営されています。
各カテゴリーで「西日本」「東日本」に分かれて開催されることもあり、4泊5日程度の合宿形式で選手のプレーをじっくり見られる場になっています。
都道府県トレセンや地域トレセンは年間を通じて活動があり、月に1〜2回のトレーニングや遠征試合を通じて選手のプレーが見られています。
「1回のセレクションで決まる」のではなく、年間を通じた継続的な活動の中で次のステージへの推薦につながっていくのが、トレセンの特徴です。
三上GKコーチのGKストーリー|きっかけはシュートを止めた一瞬
三上GKコーチは小学4年生から地元の少年団でサッカーを始め、小学5年生からゴールキーパーになりました。
きっかけは少年団のイベント「親子サッカー」でたまたまGKをプレーし、「シュートを止めた時に褒められた」ことだと言います。
「DFからFWまで全てのポジションを経験したが、シンプルに走るのが疲れるし、嫌いだった」というのも正直な理由だったと言います。
ゴールキーパーをプレーしている全ての人に、それぞれのストーリーがあります。しかし、全員に共通しているのは「もっと上手くなりたい」という思いです。
- 1
もっとシュートを止められるようになりたい
- 2
プロみたいなダイビングをできるようになりたい
- 3
FWとの1vs1に強くなりたい
- 4
クロスボールをキャッチしたい
もっと上手くなりたい。試合で活躍したい。チームに貢献したい——この思いがあれば、誰にでもGKとして伸びる可能性があります。
トレセン選考で気づいた「プロとの差」|ナショナルトレセンU-14の実体験
小学生の時には存在すら知らなかった日本サッカー協会(JFA)のトレセン活動。
地元のジュニアユースに入団し、中学1年生の時に初めてトレセン活動に参加しました。そこから気づけば埼玉県トレセン、そして中学1年生の終わりにはナショナルトレセンU-14[西日本]のメンバーに選出され参加しました。
同世代のトップオブトップのメンバーたちと4泊5日間を過ごして気づいたことがあります。
「トップレベルと大きな差があるわけではない。しかし小さな差が大きい」
「小さな差の中でも特に覚えているのはトップレベルのGKはミスの回数が極端に少ない」
これを中学1年生の時に気づくことができたのが、ナショナルトレセンU-14への参加でした。J下部セレクションを受けるGKに共通する5つの特徴でも触れていますが、技術の完成度は次のステージに進むための大切な土台です。
浦和レッズユースで体感した「本物のプロレベル」
高校は浦和レッズユースでプレーした三上GKコーチ。
高校1年生の時には、第64回国民体育大会に向けたU-16埼玉県選抜に選出(埼玉県選手団名簿)。
そして高校3年生の時には2種登録(浦和レッズユースの三上綾太をトップ登録)し、トップチームのキャンプや練習参加を経験しました。
当時、浦和レッズの守護神としてプレーしていた日本代表経験もあるGK山岸範宏氏(ギシさん)のプレーを間近で観て感じたのは、
「プロとアマチュアではプレースピードと技術レベルが雲泥の差」
プロサッカー選手を目指して頑張っていた中で、本物のプロレベル、プロの基準を知ったのが高校3年生の春。夢を叶えるには、タイミングが遅かったと感じています。
だからこそ、グラスピアの選手たちには小学生・中学生の早い段階から「プロの基準」を伝えることを大切にしています。
トレセンを通過した選手たちに共通していた4つのこと
ナショナルトレセンU-14に選出された自身の体験と、グラスピアからトレセンに通過した教え子たちを見てきた経験をもとに、選考を通過していった選手たちに共通していた4つの要素を整理します。
ナショナル・地域・都道府県のいずれでも、通過した選手に共通している要素は基本的に同じだと感じます。良い選手は、どのカテゴリーに行っても良い選手として評価される——これが現場で感じることです。
- 1
判断力
プレーの一つひとつで「なぜそうするのか」を自分で判断できる力。技術と一体で身についている
- 2
コミュニケーション能力
声を出せること。仲間に伝えられること。上のステージに行くほど不可欠になる要素
- 3
規律
仲間との関わり方、練習に向かう姿勢。挨拶を含めた日常の振る舞いがそのままにじみ出る
- 4
ポテンシャル
身長・技術・身体能力など、これからどれだけ伸びそうか。今の完成度よりも「伸びしろ」が大きい選手が次のステージに進んでいる
第一印象は「挨拶」から始まる
意外に思われるかもしれませんが、新しい環境での第一印象を決めるのは「挨拶ができるかどうか」です。
初めての場で、コーチや知らない選手たちに対して、自分から挨拶ができる。これだけで「この子は自分から動ける」「コミュニケーションを取れる」という印象を持たれます。
プレーが始まる前から、選手としての姿勢はすでに見えているのです。
挨拶は技術ではなく、日常の積み重ねです。普段の練習で挨拶を当たり前にしている選手は、緊張する場面でも自然に挨拶ができます。
「素直なマインド」が伸びる選手の共通点
技術や判断力は経験を積み重ねていけば伸びます。しかし、その成長を加速させるのは「素直なマインド」です。
どんなコーチからアドバイスをもらっても、まず受け取れるかどうか。「でも」「だって」と反論するのではなく、「やってみます」と試せるか。これは技術ではなく姿勢の問題です。
新しい環境では、コーチからの指示をどう受け止めるかも自然と表れます。たった4泊5日の合宿でも、素直に取り組める選手は短期間で見違えるほど成長します。
グラスピアからトレセン通過した選手の共通点
これまでグラスピアからトレセンに通過していった選手たちを振り返ると、共通しているのは声・規律・技術の3点です。
声を出せること。練習中、試合中、日常の場面でも自分から発信できる選手は、新しい環境でも自然と存在感が出ます。GKコーチングで声が出ない原因と練習法でも詳しく解説していますが、声は技術と同じく練習で育てるものです。
規律の部分は、グラスピアの選手として上のトレセンに推薦される際にも大きく影響していると感じます。
仲間との関わり方、約束ごとを守れるかどうか、自分の役割を果たそうとしているか——こうした規律面が、推薦のきっかけになっています。
そして技術の完成度。正しいフォームで基本動作を再現できるか、雑にプレーしていないか。技術は次のステージに進むための前提として、誰もが磨いておくべき土台です。
育成年代のGKに伝えたい「プロの基準」
グラスピアGKアカデミーは三上GKコーチが「自分が小学生、中学生の時にあったら良かったな」と思っていることを形にしています。
「高3のタイミングでプロの基準を知っても遅かった。もっと早い年代から知って準備しなければプロのGKにはなれない」
これを体感したからこそ、小学生や中学生の早い段階でプロを目指して頑張っている本気のGKたちに伝えていきたいと思っています。
特に技術の部分は量を積み重ねることで質が高まってくる部分でもあります。小学生年代から正しい技術を知り、反復することで質が高まります。
現代GKに求められる5つの役割
現代のGKは昔と比べて求められる役割が大きく広がっています。シュートを止めるだけでは生き残れない時代です。
- 1
シュートストップ
GKの基本中の基本。キャッチング・セービング・ダイビングの完成度が問われる
- 2
DF背後のスペース管理
ハイラインの守備でGKが背後のスペースを守る。ポジショニングと判断力が決め手
- 3
クロス対応
ハイボールへの飛び出し判断。出るのか出ないのか、一瞬の判断で試合が決まる
- 4
ビルドアップへの参加
攻撃の起点となる足元の技術。プレッシャー下で正確にパスをつなぐ判断と精度
- 5
チームの攻撃への貢献
ロングフィードやスローでカウンターの起点になる。攻撃を作るGKが評価される時代
チーム練習を考えると、フィールドと一緒にやるメニューが増え、合流のタイミングも早くなり個別のGK練習の時間が短くなっています。
技術や戦術を取り組む時間が短くなっている現状で、GKの基本テクニックであるキャッチング1つにしても、正しい方法でできているゴールキーパーは少ないのが現状です。
トップチームの練習に参加した時、ギシさんのキャッチングに衝撃を受けたのを今でも覚えています。その基準をグラスピアでは伝えています。
詳しくはこちら:ゴールキーパーのキャッチングの種類と正しいやり方|GKコーチが教える基本と練習法

グラスピアGKアカデミー|選抜制だからこその成長環境
グラスピアGKアカデミーはセレクションを突破したGKだけが入会できる選抜制ゴールキーパースクールです。同じ夢や目標、本気の熱量を持ったGKだけが集まるから、理想に近づける環境があります。
3校で活動中|千葉・大宮・柏
関東の各都県から週1回のGKトレーニングのために集まって活動しています。地域の少年団やクラブチーム、部活動のGKはもちろん、中にはJリーグ下部組織所属選手や関東リーグで戦っているGKたちもいます。
同世代のハイレベルの選手たちとプレーすることで、基準や自分の現在地も把握できる環境です。
選抜制だからといって初心者のGKがいないわけではありません。初心者ゴールキーパーでもセレクションを突破して入会しているGKもいます。
入会セレクションでチェックされているのは現在のプレーや能力だけではありません。「本気で上手くなりたい」その熱い想いを、自分自身の行動や姿勢で表現できているかどうかもチェックしています。
プロを目指すために必要なことをピッチ内外で学べるのがグラスピアです。GKとしてのテクニックやフィジカルはもちろん、1人の人間として、一流になるために必要な人間力・心・マインドも鍛えることができます。
本気で上を目指している小学生・中学生GKにとって刺激ある場所になっています。
チャレンジしたいゴールキーパーは、ぜひグラスピアに挑戦してみてください。
詳しくはこちら:なぜ?GKスクールで子どもは変わるのか|成長が起きる5つの理由