ゴールキーパーのキャッチングの種類と正しいやり方|GKコーチが教える基本と練習法

ゴールキーパーのキャッチングの種類と正しいやり方|GKコーチが教える基本と練習法

味方のシュートをゴールキーパーのお子さんがはじいた瞬間、こぼれ球をもう一度詰められてしまう。試合でその場面を見るたびに、「今のは掴めなかったのかな」と、もどかしく感じたことはありませんか。

派手なセービングの陰に隠れがちですが、キャッチングはGKが小学生で始めた日から、プロになっても磨き続ける技術です。そして実は、ここがすべてのプレーの土台になります。

ただ、多くのゴールキーパーを指導してきて感じるのは、正しいキャッチングのやり方を知っている選手は、思っているより少ないということです。「なぜ大事なのか」「どうやればいいのか」を知らないまま、なんとなく繰り返している子がほとんどです。

この記事では、キャッチングの種類・正しいやり方・よくある間違い・家でできる練習まで、GK専門コーチが順番に解説します。読み終えたあとに、次の練習でお子さんの手元を見る視点が、少し変わるはずです。

CHAPTER 01

キャッチングが全てのプレーの土台になる理由

GKのプレーにはさまざまな技術があります。ダイビング、ハイボール処理、ビルドアップ……でも、その全ての土台になっているのがキャッチングです。

1発でキャッチできれば、相手のチャンスをゼロにできる

シュートを止めた後、ボールをキャッチできれば相手にセカンドチャンスを与えません。そしてすぐにマイボールにして攻撃に切り替えられます。

逆に、弾いてこぼれ球を拾われてしまうと、相手に何度もシュートのチャンスを与えてしまいます。自チームが攻撃的なサッカーをしたいなら、GKが1発でキャッチできる力を持つことが、実は大きなカギになります。

ハイボールもダイビングも、キャッチングが土台

ハイボール処理にしろ、ダイビング(ローリングダウン)にしろ、その先でボールをキャッチできないと意味がありません。

どんなに素晴らしいポジショニングでボールに追いついても、キャッチングの技術がなければこぼしてしまいます。逆に言えば、キャッチングさえ正確にできれば、GKとしての守備範囲は一気に広がります。

グラスピアで入会直後に最初に指摘されるのも、このキャッチングです。それほど、全ての技術の基礎になっています。

関連記事:なぜ?GKスクールで子どもは変わるのか|成長が起きる5つの理由

CHAPTER 02

キャッチングは「掴みに行く」のではなく「待ち構える」

この記事で一番覚えて帰ってほしいことを、先にお伝えします。それは、ボールは掴みに行くのではなく、正しい手の形を作って待ち構えるということ。この一言が、これから出てくる全ての技術に共通する軸になります。

そして、待ち構えるためには、その前の「準備」が欠かせません。

シュートが来る前に体を止める

キャッチングの技術を語る前に、必ず身に付けてほしいのが「タイミングよく止まる(構える)」ことです。

シュートが打たれる瞬間に、GKが動いていたり、足が浮いていたり、重心が崩れていたりすると、ボールに対して正しく動き出せません。

良いGKを見ると、必ずシュートの前に一度ピタっと止まっています。そのタイミングが合っているからこそ、蹴られたボールに対して素早く、正確に体を動かせます。試合を見るとき、お子さんがシュートの前に一度止まれているか、ここに注目してみてください。

重心と目線をボールに合わせる

止まったとき、重心はやや前に乗せておきます。後ろに体重が逃げていると動き出しが遅れます。

また、ボールから目を離さないこと。目線がボールの軌道を捉えているからこそ、どのゾーンにボールが来るかを判断し、正しいキャッチングの体勢に入れます。

関連記事:GKの反応速度を上げるには?反射神経より大事な「準備力」と「予測力」の鍛え方

CHAPTER 03

キャッチングの種類と3つのゾーン

ここからは具体的な手の形に入ります。グラスピアでは、キャッチングをボールの高さ(ゾーン)によって使い分けを教えています。

  • ゾーン1(胸から上):オーバーハンドキャッチ
  • ゾーン2(胸から膝上まで):アンダーハンドキャッチ
  • ゾーン3(膝から下):アンダーハンドキャッチ(低め)

ざっくり言うと、「胸から上はオーバーハンド」「胸から下はアンダーハンド」という使い分けです。ゾーンごとに正しい手の形・体の使い方が変わるため、それぞれの技術をしっかり身に付けることが重要です。

CHAPTER 04

オーバーハンドキャッチ(ゾーン1・胸より上)の正しいやり方

胸より上に来るボールはオーバーハンドキャッチで対応します。一見シンプルに見えますが、正しい手の形を作れているGKは意外と少ないです。

「ボールの形」に合わせて手を作る

キャッチングで最も大事なのは手の形です。

まず、指をまっすぐに伸ばさないこと。サッカーボールは丸いので、指もボールの形に合わせて丸く曲げます。

指先だけではなく、手のひら全体がボールに同時に触れるのが正しい形です。

「待ち構える」感覚でキャッチする

よくある間違いが、ボールに向かって手を「出しに行く」こと。手を前に突き出してしまうと、ボールの力に押されてキャッチミスにつながります。

正しくは、ボールの軌道上に正しい手の形を作って「待ち構える」感覚です。「掴みに行く」のではなく、「正しい手の形の中にボールが入ってくる」イメージを持つと、安定したキャッチができるようになります。

CHAPTER 05

アンダーハンドキャッチ(ゾーン2・3)の正しいやり方

胸から下に来るボールはアンダーハンドキャッチです。

特に股間あたりの低いボールは対応が難しく、フォームが乱れやすいゾーンです。

小指と小指をくっつける

アンダーハンドキャッチで特に意識したいのが、小指と小指をくっつけることです。

両手の小指を合わせることで、手の形がボールの丸さに合い、ボールがすっぽりと収まる「カップ」が作れます。ここで肘や脇が開いてしまうと、手がバラバラになってキャッチが不安定になります。

腕と上半身でボールを包み込む

小指をくっつけた状態で、肘・脇を閉めたまま腕と上半身でボールを包み込むイメージで。オーバーハンドキャッチと同様に、「待ち構える」感覚は変わりません。

正しい手の形を作ってボールの軌道上で待ち、ボールが手のカップに収まってきたら、腕と上半身で閉じて確実にキャッチします。

CHAPTER 06

キャッチングでよくある間違い4選

多くの選手を指導してきた中で、特によく見られる間違いを4つ紹介します。お子さんに当てはまるものはないか、確認してみてください。

①ボールを「掴みに行く」ために手を前に出す

最も多い間違いです。ボールに手を突き出してしまうと、ボールの勢いで手が押されてキャッチミスになります。

「待ち構える」感覚に変えるだけで、安定感が全然違ってきます。

②手を出すタイミングが遅い

シュートが来てから手を出そうとしても間に合いません。ボールがどのゾーンに来るかを早く判断し、手の形を作るタイミングを前倒しにすることが大事です。

③キャッチした後に「引く」動作がある

キャッチした瞬間にボールを吸収しようとして、後ろに引く動作が入るGKがいます。この引く動作があると、タイミングがずれてこぼしやすくなります。

待ち構えた位置で、そのまま受け止めることを意識しましょう。

④腕を振ってキャッチに行く(小学生に多い)

特に小学生に多いのが、腕をスイングしてボールをキャッチしようとすることです。腕を振ると力のベクトルがずれるため、ボールが安定して収まりません。

腕は振らず、手の形を作って待ち構えることを徹底しましょう。

CHAPTER 07

家でできるキャッチング練習メニュー2選

ここまで読んで、「じゃあ何から始めればいいの?」と思った方へ。以下の2つは、グラスピアでもおすすめしている、キャッチングの感覚を磨く練習です。ボール1つあれば家でも1人でできるので、ぜひ取り組んでみてください。

練習① 仰向けキャッチ

やり方:

  1. 仰向けに寝た状態で、真上に向かってボールを投げる
  2. 落ちてきたボールを正しい手の形でキャッチする

なぜ仰向けかというと、腕が使いにくい体勢になることで、自然と「手の形でボールを待つ」感覚を身に付けられるからです。

掴みに行けない状況で練習することで、「ボールが手の形の中に入ってくる」本来の感覚が分かりやすくなります。

また、どの位置で手を構えると1番力が入るかも、この練習で実感できます。

保護者の方が上から投げたボールをキャッチするパターンでも効果的です。

練習② 壁当てキャッチ

やり方:

  1. 壁に向かってボールを投げて跳ね返らせる
  2. 跳ね返ってきたボールを正しい手の形でキャッチする
  3. ボールがズレた場合はステップで体をボールに合わせる

壁当てキャッチの目的は2つ。1つ目は、正しい手の形で待ち構えて受けること。

2つ目は、ズレたボールに対してステップで対応することです。

壁からのボールは跳ね返る角度が一定ではないため、毎回体をボールに合わせる必要があります。これが試合でのキャッチングに直結するトレーニングになります。

どちらも道具はボール1つで始められます。まずは仰向けキャッチから、感覚をつかんでみてください。

関連記事:キーパーが家でできる練習メニュー|小学生・1人でできる方法を目的別にGKコーチが解説

CHAPTER 08

なぜグラスピアはキャッチングを繰り返すのか

「なぜGKスクールで、こんなに基本のキャッチングを繰り返すの?」と感じる方もいるかもしれません。

グラスピアでは、全てのプレー・アクションに対して「なぜ?」という理由を選手に伝えます。

  • なぜこの手の形なのか
  • なぜ待ち構えるのか
  • なぜ止まるタイミングが大事なのか

理由を理解している選手は、試合中にミスをしたとき、自分で気づいて自分で修正できます。チームにGKコーチがいなくても、監督に指摘されなくても、頭の中で「どこでエラーが起きたか」を整理して、次につなげられます。

そして、正しいキャッチング技術が身に付くと、守れる範囲が大きく広がります。ギリギリのシュートにも対応でき、弾くしかなかった場面でキャッチできるようになる。その積み重ねが、GKとしての大きな成長につながります。

関連記事:GKが上達しない本当の理由|練習時間の壁と突破法

CHAPTER 09

まとめ:正しく「待てる」キーパーは、必ず伸びる

キャッチングは、道具もいらず、才能もいらず、「なんとなく」でも取り組めてしまう技術です。だからこそ、正しい理由と方法を知っているかどうかで、GKとしての成長スピードに大きな差が生まれます。

覚えて帰ってほしいのは、たった一つ。ボールは掴みに行くのではなく、正しい手の形を作って待ち構えるということです。止まって、手の形を作って、待つ。この順番が、守備範囲を静かに広げていきます。

お子さんが次にボールをこぼした日、「なんで捕れないの」ではなく、「今、手を出しに行ってなかった?」と一つだけ聞いてみてください。掴みに行っていたなら、待ち構える感覚に気づく最初のきっかけになります。

まずは今日、仰向けキャッチを1回。そこから、こぼさないキーパーへの一歩が始まります。

CHAPTER 10

キャッチングを本格的に改善したいなら|グラスピアGKアカデミー

「正しいキャッチングと言われても、1人では何が正しいかわからない」という方へ。

キャッチングは、今日お伝えした「止まる・手の形・待ち構える」を意識すれば、家の練習からでも変えていけます。その上で、専門のGKコーチに直接見てもらう環境に興味が湧いてきたら、グラスピアの入会セレクションもご検討ください。

グラスピアGKアカデミーは、関東を中心に活動するゴールキーパー専門スクールです。

  • 土曜日:千葉校(SMBC FIELD HONDA FOOTBALL AREA・幕張)
  • 日曜日:大宮校(埼玉朝霞学校・さいたま市)
  • 月曜日:柏校(小さな森の家フィールド・野田市)

グラスピアの最大の特徴は選抜制であること。毎月1回のセレクションを突破した選手だけが入会できます。

GKを始めたばかりの初心者でも、本気で上を目指す気持ちがある選手は、積極的に挑戦してください。入会後は、キャッチングの基礎から「なぜ?」の理由まで丁寧に指導します。

グラスピアGKアカデミー 入会セレクション挑戦状